日本は寝不足大国、睡眠不足が心身に与える悪影響

日本は寝不足大国、睡眠不足が心身に与える悪影響

皆さん、睡眠の重要性をご存知ですか?大事なの分かってるけど、どのくらい重要なのかまでは知らないのではないでしょうか?
地球上に存在人類は自分の意思で睡眠時間を削っている唯一の種族です。この行為は、私たちの健康に深刻な影響を及ぼします。

米国の大規模調査によると、主要な死因ワースト15のうち7つは、不十分な睡眠時間に起因しているとされています。これには、心血管疾患、悪性新生物、脳血管疾患、事故、糖尿病、敗血症、高血圧が含まれます。
睡眠不足は、免疫機能の衰え、がんのリスク増加、アルツハイマー病の発症リスク、心血管病や脳卒中のリスク増加に強く起因しています。睡眠不足が慢性化すると、抑うつ状態、不安、自殺傾向などの心の問題や、体重増加などにになりやすいことなども明らかになっています。
また、睡眠不足は寿命を短くするとも言われています。現代社会では、睡眠不足の人が多く、これが健康問題を引き起こしています。

食事・運動・睡眠 最も大切なのは睡眠

生きるために食事、運動、睡眠は必要不可欠です。その中で健康にとって最も大切なのは睡眠であると言えます。

今、世界が注目するメジャーリーガー大谷翔平選手。日頃から「睡眠時間は基本的に10時間。最低でも8時間はとる」「いつ寝るかの準備を数日前から計画的に行う」と公言しています。
プロのスポーツ選手が常に最高のパフォーマンスを発揮する秘訣は睡眠にあります。大谷選手に限らず多くのトップアスリートが、十分な睡眠を取ることが彼らの成功の鍵であると証言しています。
睡眠は、スポーツパフォーマンスに著しい影響を与えることが明らかになっています。十分な睡眠を取ることで、身体の回復や再生が促進され、疲労が軽減されます。これにより、アスリートは練習や試合中により良い力を発揮し、怪我のリスクを低減することができます。
さらに、睡眠は精神的な側面にも重要な影響を与えます。ストレスの軽減やストレス管理能力の向上に加えて、睡眠は注意力や反応時間を改善し、アスリートが状況に素早く適応する能力を高めます。これにより、競技中の意思決定や戦術の展開において優位に立つことができます。
彼らは睡眠がパフォーマンスに与える重要性を証明しています。トップアスリートにとってはトレーニングや栄養よりも睡眠が最も重要な要素であることが明らかになっています。

睡眠は心身の健康を保つ最強の薬であり、自然な機能でも医学的な治療でも眠りほどの力を持つものは存在しないのです。

適正な睡眠時間

最適な睡眠時間は人によって生活スタイルや生まれ育った環境、遺伝にも関係しているので違いはありますが、一般的に最適な睡眠時間は7時間と言われています。
しかし、現代人の多くは規則正しく睡眠を摂らない。その結果、睡眠時間にバラツキが生じ、寝不足を引き起こしています。朝起きてから午前中に眠たくなる人、ボーッとしてしまって頭が働かない人がいるのはこのためです。


睡眠不足は体に悪影響を及ぼす一方、「たくさん寝れば健康になる」というのは大きな誤解です。死亡率と睡眠時間の関係を調べてみると、7時間程度が最も死亡のリスクが低くなっています。一方で、9時間台になると死亡率は高まり、むしろ睡眠不足とされる5~6時間台よりもハイリスクとなります。
寝過ぎは死亡率が飛躍的に高まります。

現在のところ、睡眠が体に悪いという証拠は一つも見つかっていませんが、睡眠は多ければ多いほど良いわけではありません。食事や水分摂取と同様に、適度な量が必要です。
人間の覚醒時間と睡眠時間は進化の過程で最適化されており、現代人の多くにとっては睡眠は7時間程度が最適です。

我が国、日本は寝不足大国

日本人は、アメリカ、フランス、イギリスなど欧米先進諸国と比べても1時間ほど短い睡眠不足大国です。

OECDによる労働時間の国際比較調査でも明らかになっていますが、日本人の労働時間は、年間では減少傾向にあるものの、平日1日あたりの労働時間は増えているのが現状です。
また残業時間が多いことでも知られていて、米国やフランスと比べると残業時間は約3倍という報告もあります。現代では人手不足の影響により長時間労働を強いられ、睡眠時間が削られる。その結果、仕事のパフォーマンスが落ちて生産性が低くなる、残業が増える、睡眠時間が短くなる…という皮肉なループ状態になっています。

現代人が寝不足になる理由

  • 忙しいライフスタイル
    現代社会では、仕事や学業、長時間の通勤、家事や育児など多忙な日々を送る人が多いため、睡眠時間を十分に確保する余裕がない人が多いです。
  • デジタルテクノロジーの使用
    スマートフォンやパソコンなどのデジタルテクノロジーの普及により、夜遅くまで画面を見ている人が増えています。また昔に比べてSNSや映画、YouTubeなど手軽に楽しめるコンテンツが増え夜型の生活習慣になってしまっていることも指摘されています。これは睡眠の質を低下させる可能性があります。
  • ストレス
    現代社会ではストレスが日常的に起こることが多く、ストレスが原因で睡眠障害が引き起こされることがあります。仕事や人間関係、経済的な不安などがストレスの原因となり、寝れない、など睡眠に影響を与えます。
  • 環境の影響
    騒音や明るさなどの環境要因が睡眠に悪影響を与えることがあります。都市部では交通や周囲の騒音が睡眠を妨げることがあり、明るい照明やデジタルデバイスなどのブルーライトも睡眠を乱す要因です。



    このような原因で生活のリズムが乱れ、体内時計が乱れ、十分な睡眠をとるのが難しくなります。
    不規則な生活リズムになることや、これらの要因が複合的に影響し合うことで、多くの現代人が慢性的な寝不足に悩まされているのが実情です。
    適切な睡眠時間の確保や、生活リズムの改善、ストレス管理などが重要になってきます。

現代人が避けることのできない人工光

人工光は、特に夜間に暴露されると、私たちの睡眠を奪ったり体内時計を乱したりする可能性があります。これは主に以下の理由によります

  • メラトニンの抑制
    夜間に暴露される人工光は、体内でメラトニンという睡眠ホルモンの分泌を抑制します。メラトニンは暗い環境で分泌され、眠気を引き起こし睡眠を誘導します。しかし、人工光が目に入ると、脳は昼間であると解釈し、メラトニンの分泌が抑制されてしまいます。
  • 体内時計の混乱
    人工光は、体内時計や循環リズムに影響を与えることがあります。体内時計は、体内のさまざまな生理的プロセスや活動を調整し、特に睡眠と覚醒のサイクルを制御します。夜間に人工光にさらされることで、体内時計が自然なリズムを維持するのを妨げる可能性があります。
  • 睡眠障害のリスク
    長期間にわたって夜間の人工光にさらされることは、睡眠障害や不眠症のリスクを高めることがあります。不十分な睡眠は、身体的健康や精神的健康に悪影響を与え、集中力や認知機能を低下させる可能性があります。

これらの理由から、特に就寝前や睡眠時間には、人工光の暴露を最小限に抑えることが重要です。
ブルーライトフィルターを備えたスクリーンやライトを使用する、就寝前にデジタルデバイスの使用を制限する、蛍光灯などの明るい照明は消し、間接照明などの明かりで過ごす、などなるべく暗い環境でリラックスすることが不可欠です。

アルコールも睡眠の質を下げる原因

アルコールは眠りを妨げます。アルコールによる眠りは自然な眠りとは異なり、睡眠の質を低下させます。

アルコール摂取することにより、寝つきを早くする効果があります。これはアルコールの中枢神経抑制作用によるもので、主観的な熟睡感を増進させる効果があります。「お酒を飲むとよく眠れる」とよく耳にするのはこのためです。しかし、実際には睡眠の質は大きく低下しています。、

眠りには、レム睡眠とノンレム睡眠があります。
ざっくり、レム睡眠は浅い眠り、ノンレム睡眠は深い眠りのことです。
アルコールは睡眠を誘発させます。その一方で深い眠りを妨げます。
アルコールが体内で分解されるときに発生するアセトアルデヒドがレム睡眠を阻害し、深い眠りにまで到達することができず、浅いノンレム睡眠状態が長く続くようになる。その結果、しっかり寝たはずなのに疲れが取れない、日中眠くなる、などの症状が現れます。また、アルコールの利尿作用や寝汗の増加により、睡眠中の脳梗塞や心筋梗塞のリスクも高くなります。
アルコール摂取が長期に渡ると脳や臓器などにも大きな悪影響が出てきます。

まとめ

以上が、睡眠不足が心身に与えるその影響と、睡眠の重要性についての記事となります。
睡眠不足は思っている以上に心身に負担をかけ、体を蝕む元凶になります。世界的にみても特に日本人の睡眠時間の少なさは著しいです。
しっかりと睡眠をとることで、心身の健康を保つことができます。健康な生活を送るためには睡眠時間の確保が最優先。規則正しい生活リズムを保ち、寝室を暗く静かに保つ、スクリーン時間を減らす、アルコールの摂取を控えるなど睡眠に悪影響がでる行動を極力避けて、良質の睡眠が摂れるように心がけることが重要です。
睡眠を大切にし、毎日のパフォーマンスを上げて、より良い健康な生活を送りましょう。